当時住んでいた家から幼稚園へ行くのには、国道39号線を渡らなければならなかった。
信号がちょうどいい場所になかったので、母が車が走っていないことを確認してから「それっ!」と背中を叩いてくれるのが合図となり、国道を無我夢中で走り抜けて幼稚園に通っていた。4歳から5歳までの2年間だった。
母と別れることになった去年の僕は、数えで39歳。
��9号線と39歳が、僕の中で有機的に結びついて融合する。ある種の象徴のようにも思えてくる。
「39歳からは、ひとりで生きていくんだよ。」
国道39号線をひとりで渡っていたことに、そんな未来へのメッセージ性が秘められていたのかなと思うと不思議でならなかった。